2012年12月
むかーし、むかし、そのむかし、笑えるくらいどうしようもない朝を迎えたり、狂気じみた白昼に目を伏せたり、もうどうにでもなれってくらい最高の夜を過ごした男と女がおりました。いつしか二人は、忘れたくても忘れられない、そして、思い出したくても思い出せない。そんな病気にかかってしまいました。それでも、大晦日にだけは無機質に「ありがとう」と、つぶやきました。それは、今、何処にいて、何処に向かっているのかわからないのだけれど、「さて、次に行こうか」と言っているようにも聞こえるのでした。人々と時が過ぎて行くのも、まるで気付かないような素振りで。
おしまい
2012年12月31日 23時55分 カテゴリー:「それでもドロップキック」